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輸血部(輸血・細胞治療センター)

部門理念

輸血療法は適正に行われた場合、有効性が高いことから広く行われており、安全対策の推進により、免疫性及び感染性輸血副反応・合併症は減少し、輸血用血液の安全性は極めて高くなっている。しかし、輸血による移植片対宿主病、輸血関連急性肺障害、エルシニア菌による敗血症などの重篤な障害、肝炎ウイルスやヒト免疫不全ウイルスに感染しウインドウ期にある供血者からの感染などの輸血副反応・合併症を根絶することは困難であり、ヒトパルボウイルスB19やプリオンの感染などが新たに問題視されるようになっている。また、不適合輸血による致死的な溶血反応の回避は輸血・細胞治療センターにとって最も重要な責務である。
輸血療法の適応と安全対策について、常に最新の知見に基づいた対応を行い、輸血について十分な知識・経験を有する医師のもとで使用するとともに、副反応発現時に緊急処置がとれる準備をすることにより、安全かつ適正な輸血療法の遂行を図ることを理念とする。


業務概要

1.安全かつ適正な輸血用血液(血液製剤)の供給

①輸血検査

血液型の判定 ABO血液型、RhD血液型
不規則抗体スクリーニング 輸血や妊娠により不規則抗体(赤血球抗体)を産生する場合があり、患者が保有する抗体と対応する赤血球型抗原が陽性の血液製剤を輸血すると赤血球が生体内で破壊され、重篤な溶血性副作用を生じる抗体がある
交差適合試験 輸血を行う前に患者と血液製剤との適合性を確認する
白血球・血小板抗体の検出 免疫学的機序により血小板輸血の効果が認められない症例、発熱・蕁麻疹等の非溶血性輸血副作用の原因究明
移植免疫検査 造血幹細胞移植患者のHLAタイピングおよび抗HLA抗体検査

②血液製剤の保管・管理

日本赤十字社血液センターから納入された血液製剤

③自己血採取および保管・管理

自己血輸血用血液製剤 患者自身の血液を貯血した血液製剤を手術に用いる
全身状態が良好な患者で、出血することが予想される手術が適応となる(緊急手術は不適応)
有効期限が35日間、最大1,600mLまで貯血可能

厚生労働省のガイドライン:「輸血療法の実施に関する指針」(2020年3月一部改正)及び「血液製剤の使用指針」(2019年3月)により定められた、輸血検査や血液製剤の保管・管理(温度・記録計・警報装置を備えた保冷庫や振盪機の使用等)を遵守することにより、安全かつ適正な輸血用血液(血液製剤)の供給を行う

輸血検査用自動機器

ABO血液型 RhD血液型 不規則抗体スクリーニング 間接抗グロブリン試験

フローサイトメーター

HLA抗体 HPA抗体 CD34陽性細胞測定 赤血球抗原量測定

マルチプレックスフローメトリー解析装置

HLAタイピング HLA抗体 HPA抗体 ABOタイピング


2.医薬品GMPに準じた院内血液細胞製剤の調整

①洗浄血液製剤の調整

洗浄赤血球製剤の調整
(生理食塩液)
非溶血性副作用(原因となる血漿蛋白質の除去)
ABO血液型ミスマッチ造血幹細胞移植
洗浄血小板製剤の調整
(重炭酸リンゲル)
非溶血性副作用(原因となる血漿蛋白質の除去)
HLA適合血小板(ABO血液型ミスマッチで高抗体価の場合)

②血液製剤の分割

小児科領域使用 1回の輸血使用量が少ない場合、血液製剤を分割

③クリオプレシピテートの調整

血液凝固因子の補充

④自己フィブリン糊の調整

整形外科領域、心臓外科領域、脳神経外科領域

⑤造血幹細胞採取、加工および保管・管理; 骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植

自己末梢血幹細胞採取 患者の末梢血管より成分採血装置を用いて幹細胞を採取
同種造血幹細胞加工 幹細胞濃縮(細胞分離装置)、幹細胞洗浄(生理食塩液)
造血幹細胞保管・管理 液体窒素による保管・管理

⑥細胞加工製品・再生医療製品の調整・保管

テムセルHS注 血液内科領域
ステミラック注 整形外科領域
自己多血小板血漿(PRP)
調整
形成外科、皮膚科領域

院内で調整する血液細胞製剤は、日本赤十字社血液センターの血液製剤(医薬品)と同等の品質でなければならないことから、薬事法「医薬品の製造管理及び品質管理規則」(医薬品GMP)に準じて調整を行う

連続式血液成分分離装置

自己・同種末梢血幹細胞採取 自己白血球・血小板採取

血液成分分離装置

自己フィブリン糊の作製


3.輸血・細胞治療に関する教育および研究

①職員に対する教育訓練および研修の実施

部内教育訓練、OJT、外部研修

②学生教育

医学部実習、医療技術学部臨地研修

③輸血・移植免疫学・細胞治療に関する研究

血小板減少を惹起する抗血小板自己抗体に関する研究
多発性骨髄腫治療薬(抗CD38)による偽陽性反応への対処法に関する研究
造血幹細胞移植と組織適合性抗原・抗体に関する研究
造血幹細胞を用いた再生医療に関する研究

④関連学会への参加

日本輸血・細胞治療学会、日本自己血輸血学会、日本組織適合性学会等

安全な輸血を行うため、常に最新の知見に基づいた対応を行い、医師・看護師・臨床検査技師・血液センター職員等、関係各部署と連携して安全性の向上に努めている

学生教育 医学部実習


スタッフ

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輸血部長(専任) 大井 淳 学会認定・自己血輸血責任医師
臨床検査技師 12名 認定輸血検査技師:   5名
細胞治療認定管理士:  5名
認定組織適合性指導者: 1名
認定HLA検査技術者:  1名
医師(血液内科)
看護師(整形外科)
1名
1名
輸血認定医、学会認定・自己血輸血責任医師
学会認定・自己血輸血看護師

施設認定